『 Bounty Sword 』について …概要紹介と攻略本・CD情報…


 パイオニアLDCのゲーム初参入作であるS・RPG『バウンティソード』は、99年7月現在、以下の3作が出ています。

●「バウンティソード」
…1995年にSFCで発売された第1作であり、販売元であるパイオニアLDCのゲーム初参入作。
●「バウンティソード・ファースト」
…第1作のリメイク。1997年6月6日にPSで発売。シナリオの改訂やキャラクターの追加、一部システムの若干の変更が行われている。このファーストの制作発表時には「バウンティソード・トリロジー」構想も同時に発表されている。
…「Major Wave 1500」シリーズのひとつとして、2000年8月31日に廉価版が再版されている。発売元は(株)ハムスター。
●「バウンティソード・ダブルエッジ」
…1998年7月31日にPSで発売された「バウンティソード・トリロジー」第2弾(初期の仮タイトルは「バウンティソード・セカンド」)。主人公が二人の男女いずれかから選べることや、戦闘ロボット”ヴォイド”の登場など、ファーストとはだいぶん異なる部分もあるが、基本的な戦闘システムは大きな変更なし。
…キャラデザイナー大武ユキ氏自らの筆によるコミック版が月刊Gファンタジーで連載された(99年9月号(8月18日発売)で終了)。単行本第1巻は99年10月27日発売済。
…同じく「Major Wave 1500」シリーズのひとつとして、2000年9月28日に廉価版が再版されている。発売元は(株)ハムスター。

 この3作はいずれも知名度が高いとは言えませんし、ソフトの売れ行きも芳しいものではありませんでした。「埋もれたソフト」になってしまったわけです。特に『ダブルエッジ』の販売本数はあまりいいものではなかったようで、そのことも『サード』制作の障害になっている一因かもしれません。中身を実際にプレイしてみると、もっと売れても良かったのにとつくづく思うのですが(SFC版は中古で購入したのですが、これなら新品で購入したかったなとかなり後悔した覚えがあります。雑誌発表時から注目はしていたのですが買いそびれてしまって…)

●ストーリー●

 SFC版と『ファースト』の主人公ソードは31才の元騎士。10年前のある不祥事で冤罪を被って軍を追われ、現在ではバウンティハンターとして生きる目的も失ったまま日々を生きているという設定。ゲーム開始時点のこの設定からかなり異色なものです。普通のRPGなら主人公ではなく、少年主人公の助言役として位置付けられそうなキャラクターではないでしょうか。このソードがフュリスと名乗る謎の少女と出会い、彼女のボディガードを引き受けたことをきっかけとして、ソードは再び戦場へと戻り、目をそらし続けてきた過去と対峙し、一度は失った自分の人生と生きる目的を再生させていきます。

 『ダブルエッジ』も主人公の設定やストーリーは一風変わっています。『ファースト』から100年後。今回の主人公は2人。野心に燃える叩き上げのエリート軍人である16歳の少年ケーン、対して夫の遺言を果たさんとする29才の戦争未亡人セラ。立場も思想も全く違う、共通点と言えば共に「騎士」の血を引く数少ない末裔ということだけ。この2人が、エウロペア公海上に浮かぶ謎に満ちた土地「鋼鉄の島」で、それぞれの目的のため行動し、ストーリーを展開していきます。

 両作品のシナリオは共に脚本家・山口宏氏(代表作:『機甲猟兵メロウリンク』『新世紀エヴァンゲリオン』)によるもの。それぞれの主人公の設定からも窺い知れる、現実の厳しさを織り交ぜたストーリーはバウンティソードシリーズの魅力のひとつとなっています。

●戦闘システム●

 『バウンティソード』シリーズは独特の戦闘システムを採用しており、シリーズの大きな特徴ともなっています。

 SFC版を例に挙げて説明すると、戦闘マップ上でプレイヤーはまず主人公ソードを始めとする味方ユニット(戦闘に参加できるのは一度に5人まで)にそれぞれ指示を出します。具体的にはマップのどの地点へ移動するか、敵ユニットが近づいた際には攻撃を優先するかもしくは回避して移動するか、移動速度はどうするか、HPがどれだけ減少した時点で回復を行うか…といった点です。こうして列挙するとかなり面倒くさそうに見えますが、実際は慣れてしまえば簡単なものです。各々のユニットにこれらの指示を出して戦闘を開始すると、マップ上でもリアルタイムに時間が経過していきます。

 そのため、マップ攻略にかかる時間もS・RPGとしてはかなり短く、スピーディーに進めることができます。1マップにかかる所要時間は平均10〜15分、長くても30分は越えず、この戦闘システムの利点のひとつとなっています。反面、短時間内で戦況の変化に合わせて指示を次々と出さなければならないので、慌ただしいものにもなってしまっているのですが。まさしく『ファースト』の広告フレーズ「体験せよ、『時間』という最大の敵」という言葉通り、時間との戦いというわけです。

 『ファースト』『ダブルエッジ』も基本的なシステムには大きな変更はありません。ただし、『ファースト』では
(1)広範囲必殺技・魔法は範囲内の味方ユニットにも当たる
(2)必殺技・魔法・アイテム効果の一部変更
(3)特定の味方ユニット2〜3体による合体攻撃の廃止
といった変更点があります。特に(1)の影響は大きく、この変更によってSFC版では通用した戦法が使えなくなり、また難易度も大きく上昇してしまう結果となってしまいました。技・魔法の効果範囲をマス単位で細かく指定できないバウンティの戦闘システムに対して、この変更点は明らかにそぐわないもので、マイナスだったとしか思えません。そのためか、『ダブルエッジ』では(1)の点は廃止され、SFC版と同じ判定(敵にのみ攻撃が当たる)に戻されています。また、(3)についても、合体攻撃は派手でそれぞれ凝ったものばかりだったので残念です。

 『ダブルエッジ』での最大の変更点は、戦闘ロボット「ヴォイド」の登場です。通常の人間ユニット以外にも、それぞれのユニットをマスターとして、1人につき最大4体のヴォイドを操って戦闘補助ユニット(攻撃・防御・魔法の3タイプ)としてヴォイドを使用するというシステムです(マスターの経験値の何割か分はヴォイドにも与えられます。逆も同様です)。この「マスター・ヴォイドシステム」はゲーム誌の『ダブルエッジ』の広告でも大きくクローズアップされており、『ダブルエッジ』の「売り」ポイントとしてパイオニアLDCは捉えていたことが伺えます。

 しかし、正直ヴォイドシステムが成功したかというとちょっと…。というのも、別に「ヴォイド」としてユニットを差別化した必要性が見うけられないのです。戦闘補助的役割といっても、結局はヴォイドにもマスターと同様に命令を個々に与える必要があるし、これならば戦闘参加人数を素直に増やしても別に良かったのでは?そう感じてしまうのです。また、これは個人的な感想なのですが、ヴォイドの形状自体も丸みを帯びた愛嬌のあるものであるため、バウンティソードの世界観(特にゲーム中で明かされるヴォイドの動力コアにまつわる非人道的なエピソード)とはどうもそぐわない気がするのです。『ダブルエッジ』コミック版ではヴォイドの存在そのものが抹消されているのも、もしかしたら世界観との相違を考慮してのことかもしれません。

 全般的な面から見てみると、オリジナルのSFC版がいちばん遊びやすいように感じられます。シナリオは容量の関係で削られた部分が多いですが決して未完成ではなく、手堅くまとめられていますし、なにより戦闘部分の難易度が難しすぎず易しすぎず、ちょうど良いバランスだと思われるからです。アイテムの使い勝手が良すぎる、僧侶系ユニットは容易に経験値を稼げる、といった理由でゲームバランスが崩れかける面もありますが、ゲームの面白さを損なうと言うほどではないですから。

●攻略本・関連CD●
テレビランドわんぱっく
バウンティ・ソード ゲームガイドブック
(徳間書店 / 1100円)
T1066596961100
SFC版の攻略本の中では講談社版と並んでオススメ。全ページカラーで攻略も丁寧、キャラやストーリーについてのちょっとしたコラムも凝っていて面白いです。目玉は「全必殺技・魔法決め台詞大全」。没になった合体攻撃時の決め台詞まで収録されている凝り様です。
バウンティ・ソード
公式攻略ガイドブック
(講談社 / 880円)
T1066181330885
SFC版の公式ガイドというだけあって、徳間版に劣らずこちらもオススメ。攻略マップでの敵配置や敵・味方ユニットのパラメータなど、徳間版には書かれていない情報についてもしっかりフォローしています。エウロペア年表・外伝CDについての情報が載っているのもポイントです。
バウンティ・ソード
必勝攻略法
(双葉社 / 850円)
ISBN4-575-28503-X
攻略本メーカーの老舗、双葉社から出たSFC版攻略本。老舗だけあり、攻略はわかりやすくしっかりしています。SFC版の攻略本は各々違う出版社から計3冊出ていますが、どれも良品ですので、安心してオススメ出来ます。
バウンティソード・ファースト
公式ガイドブック
(アスペクト / 1300円)
ISBN4-89366-745-9
複数の攻略本が出ていたSFC版とは異なり、『ファースト』はこのオフィシャルガイドしか攻略本は出ていません。シナリオ分岐・敵配置図といった攻略面の充実だけでなく、書き下ろしの短編小説(挿絵は末弥純氏!)やスタッフ座談会も収録された豪華な作りです。ただ何故か大武ユキ氏の公式設定イラストが全く載っていないので、その点での資料的価値はゼロです。
バウンティソード・ダブルエッジ
公式攻略ガイド
(メディアワークス / 950円)
ISBN4-07-309588-9
「公式」とは銘打っていますが、はっきり言って内容の豪華さでは後述の光栄版に負けています。攻略マップで敵配置がはっきり明記されている点ではこちらのほうが良いのですが……。
バウンティソード・ダブルエッジ
真正シークレットガイド
(光栄 / 1400円)
ISBN4-87719-627-7
こちらが本当の「オフィシャル」攻略本と言える内容の充実度。攻略データだけでなく、イベントガイドやスタッフ座談会もしっかり収録されています。ただし、「攻略マップで敵の配置が全く描かれていない」という大きな欠点があります。ここさえしっかりしていればメディアワークス版に完全に勝てたのですが。
バウンティ・ソード音楽編
(1995/11/22発売)
パイオニアLDC:PICA-2005
SFC版のサントラCD。田中公平氏作曲によるオリジナル全29曲+ラジオドラマ『鋼鉄の龍』のOP曲「BATTLE WIND 〜男に吹く風〜」(歌:関智一)とED曲「遠い記憶」(歌:鈴木真仁)の計31曲を収録。バウンティの音楽は正直、出来にバラツキがあるのですが、ソードのテーマである「戦場の風」は文句なしの名曲。妙に熱い「BATTLE WIND」も異様に漢臭くてインパクト大です。しかし現在は廃盤となっているうえに、プレミアがついて中古でも万単位の値段が付いている状況です。
バウンティ・ソード外伝 鋼鉄の龍
(1995/09/21発売)
パイオニアLDC:PICA-2004
ラジオ番組「三石琴乃の部活しよっ!」中の1コーナーとして、95年8月4日〜9月15日までオンエアされたミニドラマ全7話を再編集した完全版。当初ゲーム中に収録されるはずだった没エピソード「フュリスとクレイオ」をラジオドラマとして再構成・復活させた作品で、山口宏氏自らが脚本を手がけているだけあり、バウンティファン必聴ともいえる完成度を誇っています。各キャストもイメージ通りで、特にシュタイア役の関智一氏の熱い演技は見ものです。サントラ同様、現在は廃盤になっていますが、こちらは中古が比較的安価で出回っています。
バウンティソード・ダブルエッジ
BGM SPECIAL SELECTED BY KOHEI TANAKA
(非売品)
パイオニアLDC:LPR-288
ゲーム発売時のキャンペーンで配布された非売品CD。ゲームOPのモノローグ「鋼鉄の島への誘い」を含め、『ダブルエッジ』で使用されたBGMが全て収録されています。また、『ファースト』から「オープニング」「フュリス」「戦場の風」「凱旋」の4曲がボーナストラックとして選ばれて収められています。
オーケストラによるゲーム音楽コンサート5
― ライブ・ベスト・セレクション ―
(1996/01/21発売)
SONY RECORDS:SRCL-2739
1995年10月29日に渋谷公会堂で開催され、宮川泰、すぎやまこういち両氏が司会を務めた同名コンサートのライブ演奏を収録したアルバムです。『星のカービィ』『スーパーマリオヨッシーアイランド』『スーパードンキーコング』『ファイアーエムブレム』『ドラゴンクエスト6』『ヘラクレスの栄光4』『レナス2』『バウンティ・ソード』『イーハトーヴォ物語』『聖剣伝説3』『クロノ・トリガー』からそれぞれ1曲づつ(ドラクエ6のみ2曲)選ばれた曲がフルオーケストラで演奏されており、『バウンティ・ソード』からは「不敗の聖騎士」が選ばれています。現在は廃盤で中古でも本来の定価以上の高値が付いてしまっているようです。

余談:このCDのライナーノーツには各ゲームの解説が載っているのですが、『バウンティ・ソード』の項目は「間違ってはいないけどその説明はなにか違う」と思わず突っ込みたくなる内容です。
●単行本●
「BOUNTY SWORD DOUBLE EDGE」
大武ユキ
(エニックス・Gファンタジーコミックス)
ISBN4-7575-0114-5
・1999年10月27日発売。全1巻。

・「月刊Gファンタジー」誌上にて99年3月号〜9月号の短期連載として掲載された『ダブルエッジ』の公式コミック版。キャラデザイナー大武ユキ氏自らが手がけている。ストーリーはケーン編の前半をメインとして構成されており、物語後半にはセラ編も絡んでくる。尻切れ的なラストには不満もあるが、全体は綺麗にまとまっており、バウンティファンは必読の1冊。

・ケーン編の前半の中でも、特にケーンとイクシオンの確執に的を絞っており、ゲーム本編以上にキャラクターの内面が丁寧に描かれている。この他、エアリアルがヒロイン格としてゲーム本編よりもクローズアップされており、エアリアルを泣かせて困惑するケーンの姿が描かれたりした点も個人的には嬉しいところ。

・最大の変更点として「ヴォイド」の存在そのものが設定上から抹消されているが、この変更は正解だったと思われる。

・巻末には大武氏描き下ろしのソードやコミック版未登場キャラのラフ画も収録されている。

・しかし、この単行本は発行部数がかなり少なく再販もかけられていないようなので、現在では古本はともかく新品ではもう入手出来ないと思われます。
「バウンティソード ラインメタル異本」
原作:塩崎有吾
作画:斉藤和衛
(徳間書店・少年キャプテンコミックススペシャル)
ISBN4-1983-0154-9 / ISBN4-1983-0155-7
・1996年12月20日に上下巻同時発売。

・はっきり言ってキャラの名前と設定の一部を流用しただけの作品で、『バウンティソード』という作品が好きな人であればあるほど、オススメしかねるマンガ。ファンでない人にも、『バウンティソード』がこんな内容だと間違われては困るので読ませられない大駄作。
「バウンティソード・ファースト 聖剣の墓標」
著:石田祐一
絵:中村淳一
(アスキー・ファミ通文庫)
ISBN4-89366-754-8
・1997年9月3日発売。

・『ファースト』の発売とタイアップ的に出版された小説版。しかし筆者は山口氏ではなく、イラストも大武氏ではないうえに、原作である『ファースト』ゲーム本編とは大幅に異なる内容で、出番を省略されたキャラも数少なくないうえに、とどめに小説として面白くない凡作。ただし著者の趣味でツキカゲが出張っているので、ツキカゲ好き(管理人含む)には少しだけオススメかもしれません。

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