低タンパク食教室の風景(H11.4.28)
今回は40人を越える方々に参加いただきました。勉強会の内容や今回の話題についてまとめてみました。
1.低タンパク食は,腎臓の糸球体の内圧を低下させて,糸球体がつぶれるのを防ぎます
炭水化物と脂肪は体の中で燃えて,水と二酸化炭素になり呼吸で出ていきますが,たんぱく質の中にだけ含まれているちっ素は尿の中からしか排泄できません。
「フムフム・・・」
腎臓の働きが低下した人では,生き残った糸球体には2〜3倍もの過重労働が強いられています。
このため,尿をろ過する働きが強くなりすぎて,過ろ過(hyperfiltration)を起こしています。
これが,長期に続くと糸球体の毛細血管を痛めて,部分的につぶれてきます(これを糸球体の硬化と呼びます)。生き残った部分の負担はさらに増加して,硬化が加速します。
それでは,どうしたら糸球体がつぶれるのを防ぐことができるのでしょうか?・・・。
ちょっと難しくなりますが,過ろ過になっている糸球体からはたくさんのタンパクが漏れ出ています。このタンパクは栄養ですので,尿細管という細胞が一生懸命になって再吸収しようと頑張ります。でも,尿細管の細胞はあまりにも多く漏れ出るタンパクをいっぱい食べて満腹状態になり,ついには壊れてしまいます。壊れた部分から,尿や尿の中にろ過したはずの尿素ちっ素が逆流して血液の中に戻ってしまします。
これを防ぐには,糸球体の内圧を正常な値まで落としてあげることが大切です。ろ過圧を低下させるには,ろ過圧を構成している@血圧,A浸透圧を下げる必要があります。
@血圧は,血圧降下薬,とくに糸球体の内圧を落としてくれるACE阻害薬やAU拮抗薬で下げることができます。A浸透圧は,これを構成する尿素ちっ素と塩分と糖分を,それぞれ低タンパク食と食塩制限とダイエット(糖尿病の人以外は血糖は正常です)で下げることができます。
患者さんからの質問・・・・・「わたしにもACE阻害薬を使って欲しい!!」
お答え・・・「これまでは血清クレアチニンが2.5mg/dlを越えるような腎臓の働きが特に低下している人には,ACE阻害薬やAU拮抗薬は使えないと言われてきました。しかし,慎重にして使い始めてみますと,低タンパク食と同様に腎臓の働きの低下を止める作用があります。ただし,この場合は糸球体の内圧が急に低下すると尿量が減る人が時にいますので,10日間ほど入院してもらいます。」
これは低タンパク食が食べにくくて食事療法を中止した人で,ACE阻害薬をかわりに開始したところ,それまで低下していた腎臓の働きがかなり止まってきています。これくらいうまくいくといいですね。
特殊食品や食品の話題について
1.萬有製薬のおかずシリーズにあらたに4品目が追加されました。
2.これまでよりも格段においしいスパゲッティ(イタリア製「アプロテイン」)が大成食品から販売されました。1食200kcalでタンパク0.3g,無塩です。油で炒めますとさらにカロリーアップできます。
3.グレープフルーツから作った油はオリーブ油よりもさらにコレステロールを上げにくくからだに良いようです。
4.プロテインスコアがこれまでに低いと言われていた大豆タンパクが,糸球体内圧を牛肉(一番ダメ)や鶏肉(二番目にダメ)よりも上げにくいことが報告されています。しかも,骨粗しょう症を防いでくれる女性ホルモン様の作用をもった「大豆イソフラボン」が,カルシウムと一緒に取ると骨が丈夫になります。
(平成11年4月28日の低タンパク教室より: 毎月第4週午後3時に低タンパク教室を地域医療センターで開いています。また,4カ月毎に今回のような上級者コースを開きます。次回の上級者コースは8月25日です。)