重ねた文字による透過レタリング
Lettering which piled up the transparent character

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 レタリングの学習における一つの発展的な教材で,よく行われる,非常にオーソドックスな内容です。一文字だけでは単調になりがちなレタリングの活動が,文字と,そこから連想される言葉の組み合わせによって楽しいものになるように思います。
 この教材は大変シンプルなものですが,「アイデアを考える発想力」「手本を拡大転写する方法」「美しい構成やバランスに対する感性」「美しい色の組み合わせに対する感性」「着色作業の基礎技法」など,基礎的な能力の学習目標が数多く考えられるものです。

 最近の生徒がこの活動を行うと,選ぶ文字や言葉に,残虐な事柄に対する強い関心がしばしば見られます。

   

 このような残虐な事柄や猥褻な事柄に対して関心を持つ現状自体は,中学生という年代の発達段階や,子どもを取り巻く社会の現実からは,ある意味,自然なことだと言えるかもしれません。
 しかし中学生がこうした表現を行う動機は,芸術家が社会に対する警鐘や,表現のインパクトのためにあえて行う場合と違い,単なる興味・関心や面白半分で行われる場合がほとんどと考えられます。それは一般の芸術作品に見られる,一見同じような表現とはまったく異なったものであり,大きな問題が潜んでいるように思います。
 少なくとも中学校の美術科教育においては,こうした表現内容を「個々の感性」や「表現の自由」として受け止めることは避けなければいけないと考えます。


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